影山知明さんの
『ゆっくり、いそげ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』
を読みました。
西国分寺のカフェからはじまる、人を大事にする経済への挑戦
本書の舞台となったのは、
西国分寺のクルミドコーヒーというカフェ。
西国分寺駅は、JR中央線の
乗降者数が最下位の駅。
著者の影山知明さんは、この西国分寺の地に
2008年にクルミドコーヒーをオープンし
さまざまな挑戦、試行錯誤を重ねて
2013年には食べログのカフェ部門で全国1位に。
クルミドコーヒーでの挑戦、経験から得た
人を大切にする経済について書かれた一冊です。
本書の章構成
第1章 1キロ三〇〇〇円のクルミの向こうにある暮らしを守る方法
第2章 テイクから入るか、ギブから入るか。それが問題だ
第3章 お金だけでない大事なものを大事にする仕組み
第4章 「交換の原則」を変える
第5章 人を「支援」する組織づくり
第6章 「私」が「私たち」になる
第7章 「時間」は敵か、それとも味方か
読書中のツイート
自分や人の存在を感じながら、ひとつひとつを丁寧に
今の変化の激しい世の中。
私たちを取り巻く情報などの流れも速いです。
そんな中で、つい目に見える数字や、
わかりやすい指標を追い求めてしまいがち。
だけど、数字や言語化されたものでは
表しきれないような価値も、実はたくさんあるもの。
何をするにしても、そこにあるのは「人」であり、
人と人との関係があるもの。
本書では「利用し合う関係」と「支援し合う関係」の
話もありましたが、これは日常のあらゆる場面で
感じることがあります。
これも、すぐに結果を求めてしまうと
ついつい「利用」の関係になってしまいがち。
だけど、長く続いていく関係を築くのであれば、
そこには人の存在を認めることが必要です。
どんなに慌ただしいときであっても、
そこにいる自分の存在や関わる人の存在を
ちゃんと感じて大切にしていきながら、
今の自分の目の前にあることに対して
丁寧に心を込めていく。
こうしてことばにすると、
基本的なことだなと思いますが、
そうしたことの大切さを
あらためて考えるきっかけをもらった。
そんな一冊でした。
読んでいく中でしっくりくる感覚があった本書。
巻末で、本書の初版が2015年だったことを知り、
驚きもありましたが、むしろ今の世の中。
そして、今の自分が考えていることにも
ピッタリと合った一冊だったように感じました。
時間をかけて、長く愛されていくもの。
目の前の人やモノ、ことを大切にしていく。
時代が変わっても、その本質は変わらないと
いうことですね。