現代にも通じる「大衆」の問題について提起、いまの世の中を生きる私たちにも学びの一冊。読書メモ500-『大衆の反逆』

読書

オルテガ・イ・ガセットさん著、
佐々木孝さん翻訳による一冊
『大衆の反逆』を読みました。

大衆の反逆 - 岩波書店
スペインの哲学者が、使命も理想も失った「大衆」を痛烈に批判。現在に通じる警世の書。(解説=宇野重規)

みんなと同じ「大衆」に警鐘を鳴らす

本書の原著が書かれたのは1930年と
いまから100年近く前。

当時の社会で、自らの使命を顧みず、
みんなと同じであることに満足しきってしまった
「大衆」について、そしてその大衆による
問題について提起し警鐘を鳴らした本書。

本書の章構成

凡 例

フランス人のためのプロローグ

第一部 大衆の反逆
 一 密集の事実
 二 歴史的水準の上昇
 三 時代の高さ
 四 生の増大
 五 一つの統計的事実
 六 大衆化した人間の解剖開始
 七 高貴なる生と凡俗なる生、あるいは努力と無気力
 八 大衆はなぜ何にでも、しかも暴力的に首を突っ込むのか
 九 原始性と技術
 十 原始性と歴史
 十一 「満足しきったお坊ちゃん」の時代
 十二 「専門主義」の野蛮
 十三 最大の危険物としての国家

第二部 世界を支配しているのは誰か
 十四 世界を支配しているのは誰か
 十五 真の問題に辿り着く

イギリス人のためのエピローグ

原 注

訳者あとがきに代えて (佐々木淳)
解 説 新鮮な自己批判の書 (宇野重規)

読書中のツイート

現代もまた、大衆による圧力の時代か

前述のとおり、本書が書かれたのは
1930年といまから100年近く前。

ただ、本書を読み進めていく中で
問題提起されている「大衆」の問題や
大衆が多数派を構成する社会というのは、
現代においても同じことが言えるのではないか。

むしろ、その「大衆」による権威は
原著が書かれた当時よりも
強くなっているのではないかと
読みながら、現代の社会を考えて思いました。

大衆を構成する一人ひとりの個人というよりは
「大衆である」ということによって
権威を主張し、違いのあるものや
少数派の意見に対してかける同調圧力。
大衆であることがマジョリティで、
大衆であることを求める圧力。

それらは、ある意味権力よりも強いものとなる、
大衆という権威なのではないか、と。

いまの世の中を生きる中でも
たくさんの気づきがあり、
私は読みはじめてから読了まで
22日もかかってしまいましたが、
読みごたえのある一冊でした。

世の中が抱える問題は、
昔も今も変わらないものなのですね。

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