オルテガ・イ・ガセットさん著、
佐々木孝さん翻訳による一冊
『大衆の反逆』を読みました。

みんなと同じ「大衆」に警鐘を鳴らす
本書の原著が書かれたのは1930年と
いまから100年近く前。
当時の社会で、自らの使命を顧みず、
みんなと同じであることに満足しきってしまった
「大衆」について、そしてその大衆による
問題について提起し警鐘を鳴らした本書。
本書の章構成
凡 例
フランス人のためのプロローグ
第一部 大衆の反逆
一 密集の事実
二 歴史的水準の上昇
三 時代の高さ
四 生の増大
五 一つの統計的事実
六 大衆化した人間の解剖開始
七 高貴なる生と凡俗なる生、あるいは努力と無気力
八 大衆はなぜ何にでも、しかも暴力的に首を突っ込むのか
九 原始性と技術
十 原始性と歴史
十一 「満足しきったお坊ちゃん」の時代
十二 「専門主義」の野蛮
十三 最大の危険物としての国家
第二部 世界を支配しているのは誰か
十四 世界を支配しているのは誰か
十五 真の問題に辿り着く
イギリス人のためのエピローグ
原 注
訳者あとがきに代えて (佐々木淳)
解 説 新鮮な自己批判の書 (宇野重規)
読書中のツイート
現代もまた、大衆による圧力の時代か
前述のとおり、本書が書かれたのは
1930年といまから100年近く前。
ただ、本書を読み進めていく中で
問題提起されている「大衆」の問題や
大衆が多数派を構成する社会というのは、
現代においても同じことが言えるのではないか。
むしろ、その「大衆」による権威は
原著が書かれた当時よりも
強くなっているのではないかと
読みながら、現代の社会を考えて思いました。
大衆を構成する一人ひとりの個人というよりは
「大衆である」ということによって
権威を主張し、違いのあるものや
少数派の意見に対してかける同調圧力。
大衆であることがマジョリティで、
大衆であることを求める圧力。
それらは、ある意味権力よりも強いものとなる、
大衆という権威なのではないか、と。
いまの世の中を生きる中でも
たくさんの気づきがあり、
私は読みはじめてから読了まで
22日もかかってしまいましたが、
読みごたえのある一冊でした。
世の中が抱える問題は、
昔も今も変わらないものなのですね。