「未知」に向き合い、じっくり丁寧に考える。読書メモ493-『「読み」の整理学』

読書

外山滋比古さんの
『「読み」の整理学』を読みました。

筑摩書房 「読み」の整理学 / 外山 滋比古 著
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「読む」とは?

読書で本に書かれている文章や
SNSやWebメディアなど、
私たちの日常で触れないことは
ほとんどないほど扱われている、ことば。

ただ、そのことばを読んでも
わかることとわからないことが
あるのが実態ではないでしょうか。

本書はそうしたことばの読み方など、
「読む」とはどういうことか?
について考察するヒントが詰まった一冊です。

本書の章構成

はじめに
序章
未知が読めるか
マニュアルがこわい
論語読みの論語

第Ⅰ章
わかりやすさの信仰
スポーツ記事
自己中心の「加工」
音読

第Ⅱ章
教科書の憂鬱
裏口読者
批評の文章
悪文の効用

第Ⅲ章
アルファー読み・ベーター読み
幼児のことば
二つのことば
切り換え
虚構の理解
素読
読書百遍

第Ⅳ章
古典と外国語
寺田寅彦
耳で読む
古典化
読みと創造
認知と洞察

読書中のツイート

「未知」に向き合い、「読む」を丁寧に

私たちは、自分の知っていること。
「既知」については簡単に
読むことができます。

ですが、知らないことや経験したことのない
いわゆる「未知」については
読むのが難しいもので、
それなりの労力が必要となってくるもの。

近年、日本語が読めない日本人が
増えているという記事を目にしますが、
これもまたこの既知と未知の部分に
関係してくるのかもしれません。

読めない、読むのが困難なところを読み飛ばし、
いわゆる既知の部分だけを読み、
インスタントな答え出しに終始してしまう。

文章の本文に書かれていることを
読んでいれば容易にわかることであったとしても
わからない、と質問が来ることだったり、
本を読んでそのときその場で
即時的な感想を出してしまうことも
そういうことなのかな、と思います。

私自身も、自分の読書のしかたを
本書を読んで振り返ってみました。

話題の本を、次から次へと
文字を追うようにせかせかと読んで3周。

気になったところなど、そのときの気づきや
考えたことなどを自分の視点という
「既知」からアウトプットをして
読了後に改めて読むことは少なく、
なかなか未知とじっくり丁寧に向き合いながら
考えてみるような読み方はできていないな、と
あらためて気づかされたように思います。

その背景として、ゆっくり丁寧に読むための
時間などの余白を確保していないことだったり、
商業主義的な出版の波に飲まれて
読みたい本が多すぎることなどが
あるように思います。
未知に向き合えない、要因ですね。

もしかしたら、本当に読まなければいけない
そんな本は実は多くはないのかもしれません。

自分の本の読み方や
言葉との向き合い方を振り返り、
あらためて考えるきっかけを得られた
一冊だったと思います。

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