勅使川原真衣さんの
『「能力」の生きづらさをほぐす』
を読みました。

近頃よく言われる「〇〇力」「××力」など、
個人が持っているものをなんらかの能力に
まとめられてしまうことに違和感を
持っていた私が、書店でたまたま見かけて
気になって購入し、読んだ本書。
「能力」その正体をときほぐし、よりよく生きる方法を考える
生きる力、リーダーシップ力。
コミュニケーション力。
現代の世の中でよく言われる「〇〇力」。
その「〇〇力」は個人の持っているものを
あらわしをするものの、一方では
私たちを苦しめ生きづらくさせているという
実態も生み出しているといえます。
前にいた職場では活躍していたのに、
今の職場では「使えないやつ」に
なってしまうことは、なぜなのか?
そこに持ち出される「能力」とは?
その実態を教育社会学と組織開発の視点で
ときほぐし、他者とよりよく生きる方法を
模索していく一冊です。
本書の章構成
はじめに
プロローグ 母さん、僕は仕事のできない、能力のないやつですか?
第1話 能力の乱高下
第2話 能力の化けの皮剝がし―教育社会学ことはじめ
第3話 不穏な「求める能力」―尖るのを止めた大学
第4話 能力の泥沼―誰も知らない本当の私
第5話 求ム、能力屋さん―人材開発業界の価値
第6話 爆売れ・リーダーシップ―「能力」が売れるカラクリ①
第7話 止まらぬ進化と深化―「能力」が売れるカラクリ②
第8話 問題はあなたのメンタル―能力開発の行き着く先
第9話 葛藤をなくさない―母から子へ
エピローグ 母さん、ふつうでない私は幸せになれますか?
伴走者からの言葉 磯野真穂
おわりに
読書中のツイート
余裕のない世の中で、人の持つものと丁寧に向き合う
世の中に広がる能力信奉。
「能力」があることがすばらしく、
ない人はできない人。
そんな評価がされることが
当たり前のようになっている現状。
ですが、私たちが人を評価したり
ありがたがったりするこの
「能力」とは一体何でしょうか。
その幅は果てしなく広く、
定量化できないものも多々あります。
そして、そのどれもが個人として持っている
個性といわれるものであるはずです。
ですが、現状はさまざまな環境のもと、
相手の期待に都合よく応えてくれる。
そんなものだけがその環境で能力として
認められる状況になっているように思います。
本書でも書かれていた、環境によって
能力が乱高下することにも
関係しているのではないでしょうか。
ではなぜこうした能力信奉が
起こってしまうのでしょうか。
他人も、自分も、本来は多様な部分を
持っているものであるはずです。
そうした他人や自分とじっくり丁寧に
向き合ってられない世の中に
生きていることも関係があるのではないかと
私は考えました。
余裕、余白がないからわかりやすい指標で
インスタントな答えを求めてしまい、
一見客観的に見える基準で測って
ジャッジをくだしてしまう、と。
人が持っているものは多様であり、
どんなものであってもそれは
人が持つ個性であって画一的な基準で
測ったりジャッジはできないもの。
そうした人の持っているものに丁寧に向き合い、
尊重していくことが大事なのだと思います。